イギリス官給品の1952年製造の帽子。結局色違いも含め、合計4個買いました。実際に被ってみると基本的に帽子が似合わない私に何故かしっくりときたこと。古いものは出てくるときは一気に出てくるけど、そこで買い逃しちゃうと、二度と出てこないことが多々あるから。
いろいろ書きましたが、一番の理由は形の美しさに惹かれたからかも。鳥の口ばしのような短いツバ、流れるようなフォルム、ステッチの間隔、ねっとりとした艶のある藍色の素材感、すべてがバランスよく調和していて美しいなと思うのです。エゴを感じないデザインというか、すっと体に入ってくるデザイン。
68年という時を経て、イギリスの倉庫に眠っていたものが海を越え、はるばる極東の島国にやってきた。やってきたことに気付かなかったかもしれないけど、たまたま出会えた。そういう部分がこの帽子に限らず、海外の古いものが好きな理由かも知れません。
ちなみに、この帽子は芯が入っていないのでクシャっと丸めてバッグに詰め込むこともできます。おそらく、制帽として、作業時に被る帽子として、パンツの後ろポケットにつっこんで歩くということも想像していたから芯を入れなかったし、この薄くて張りのある素材を選んだのだと思うのです。そういった道具としての使われ方を想定したうえでのデザインに魅力を感じます。
その反面、私の作るものとして、必要以上の使い勝手を求めていないという自己矛盾があり、必要最低限の機能でいいと考えています。表面的に機能的なものは世の中に溢れていて、そこは人にまかせて、そこではない何かを追求していきたい。何かって何?
以下、無限ループ。