今までバッグをデザインする際に、A4サイズが入るか、財布が入るかなど実用性を重視していた。
何を入れる人へ向けたバッグなのか、そのことを特に重視しイメージしていた。
その考え方でこれまで自分の納得いくバッグが2型しか作れなかったこともあり、なかなか新作ができないのが悩みでした。。
今回はその考えを改め、さっと絵を書いて自分が持ちたいと思えるサイズ感のものをそのまま形にしました。
実用性の前に使いたいと思える佇まいがあるか、質感があるか。世の中にこのバッグの誕生を待っている人なんて一人もいない、世の中でまず一人、自分が使いたいという気持ちを大切に。
今回デザインした3つのバッグの中では1番大きなバッグ。サイズの参考にイヤフォンケースを添えて写真を撮ってみました。
マチの幅や、四角のカーブの具合、何度も改良を重ね、私の中にある美意識を形にしました。
しなやかで強靭なコーデュラナイロンのストラップ、オールドコーチのように裏地はつけずに1枚革の仕立て、ミリタリーに通じるアルミジップの質感。ただの四角のバッグなんだけど、私にとってはそうじゃない。明日まで延々こだわりを話せるバッグ。何が美しいのか、言語化できないけど。共感してもらえるか分からないけど。それでも美しいバッグ。誰も言わなくても「素敵なバッグだ」と言い続けてやろうと思っているバッグ。
何かに挑戦している人。逆境の中にいて、それでも前に進もうとしている人。自分が何者なのか分からなくて毎日もやもやしている人。ただ孤独を感じている人。
自分もそうだから、同じだから。そんな人たちに使ってほしい。そんな人たちのそばで人生を共に歩んでくれたらと願う。
ずっと側にいる。バッグとして、ベルトとしてずっと側にいる。
自分の考えていることを正直に文章にすると、怖いな、自分って思う。そんな七夕の日。笑